セガのいちばんの能力とはなんだろう? 他を圧倒する開発力? いや,優秀な人材は探し集めることができる。だが,まだ誰もしたことがない経験を買うことはできない。それに対する評価をきちんとすること,それがXボックスの命題だ。
東京ゲームショウでのマイクロソフト社,ビル・ゲイツ会長の基調講演では,セガ社との長期的戦略的提携が発表された。セガ社はXボックス向けに11タイトルを開発中,さらにマイクロソフト社からアグレッシブな提案があったとし,合意に向け検討中とのこと。
MSにとって,セガというタイトルホルダーによってXボックスのテイクオフを飾れるのは,最大の喜びだろう。改めて考えると,Xボックスの発売までのロードマップと,セガのハード撤退ソフト注力の流れはきれいに重なっている。Xボックスへの参入は自然な流れに思えるし,なるべくしてなった,感じだ。
セガのいちばんの宝は,ゲーム開発力なんかよりも,コンシューマーネットワークゲームの「経験」だ。いまさらなんたらonline.comとか立ち上げているようなメーカーとはわけが違う。回線スピードとの兼ね合い,ネット用のデータの作り方,その限界点,サーバーの負荷を抑えるための工夫,タイムラグを感じさせない技術。これからひとつひとつ実験をしなければいけないメーカーと,すべて経験済みのセガとでは,比較にならない。MSのセガを迎え入れる態度は真摯なものがある。その経験の価値を知っているからできることであり,そして,Xボックスはその価値を取り入れて登場してくるだろう。
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